まだ考えがまとまっていないので、メモのようなものだが。
「笑顔の未来へ」の歌詞は、松田聖子の歌の歌詞と対比させて考えると、なんかわかることがないか。
数日前から、中学生時代の宮本さんのアイドルだったという初期の松田聖子をYouTubeでちょっと見ていて、最初の三曲までの頃は大変かわいい、といくつか前の記事でも書いた。ちなみに、それをツレ(宮本さんとまあ同年代か)に言ったら、デビュー曲を歌われてしまった。松田聖子はとにかく最初の曲!だそうである。
それはともかく、「青い珊瑚礁」の歌詞を見ていたら、「はしゃいだ私は Little Girl」という歌詞があるのだった。そして、宮本さんが挙げた「赤いスイートピー」のサビは、
I will follow you. あなたに付いてゆきたい
というのであった。
ここまで書いたら何を言いたいかわかってしまったかもしれないが、これを男女の立場をひっくり返して歌うと、"my little girl" と、「あなたを連れて行くよ」にならないか、ということだ。
しかし、松田聖子と「笑顔の未来へ」の歌詞はもちろん別物である。
松田聖子の歌詞は、素のまま歌える歌詞ではない。松田聖子の歌、アイドルの歌、または、ポップソングというような枠がなければ、歌えない歌だと思う。どんな女性が、「わたしはlittle girl」などと正気で歌える? 松田聖子は「I will follow you.」という歌詞に示されるような行動は実生活では決してしていない。そんな性格ではない。いやいや、ちょっと話がそれたが、これは松田聖子の性格の話ではなくて、歌としての機能というか立ち位置の話だ。松田聖子は、日常生活にはありえないような想いを、日常生活にはありえないようなかわいい女性の姿のイメージをステージの上にだけ作り上げた。歌は、そのイメージの一部であり、イメージを作り上げるツールだった。
「笑顔の未来へ」を去年5月の野音で初めて聞いたとき(そのとき、アラバキでは「涙のテロリスト」だったという話を聞いていたタイトルが「笑顔の未来へ」に変わっていたのだが)、宮本さんは、歌詞が曲と一緒に浮かんできた曲の第二弾(第一弾は「俺たちの明日」)というようなことを言っていたので、どんな歌詞かと一生懸命聞いた。しかし、そのときは、その歌詞をまったく良いとは思わず、いったいどういうことなのかと疑問だけが残った。それはつまり、「笑顔の未来へ」の歌詞に、松田聖子的な、ポップソング的な、嘘っぽさ(そのときは「ありきたりな」という言葉が浮かんだような気がするが)を思わせる歌詞だと思いつつ、その感じと、エレカシや宮本さんというものの齟齬も感じていて、私は基本的に宮本さんやエレカシを信頼しているので、どういうことなのかわからない、ということになったのだと思う。
しかし、「笑顔の未来へ」の歌詞は、松田聖子ではない。ならば、何なのか。
私がこの曲をいいと思ったのは、RIJFでの演奏の映像を十回くらい見たときだったと思う。そのとき、「この歌詞」は、40歳を過ぎた男性のバンドであるエレカシが演奏し歌うから良いのだということに思い当たった。それは、ニコニコ動画にあるほかの人のコメントを見ながら、自分もコメントしていてのことだった。
ここには2つの要素がある。自分の本当の想いしか歌ってこなかった男性を中心としたバンドであること。そのメンバーが40歳を超えていること。
「あなたを連れて行くよ」なんて、20歳や30歳の若造に言われてもしょうがない。「my little girl」は、なおさらのことだ。これは、私の年齢が30代後半だからというわけでもないだろう。私が18歳だったとしても、30歳の男性にそんなこと言われたくないような気がする。(その状況を想像できないのだが。宮本さん以外、こんな歌は歌わないのではないか?)
そして、それは歳だけの問題ではないだろう。なんでこの歌詞が、この松田聖子の歌詞をひっくり返したような歌詞が、薄っぺらに聞こえないかと言えば、それは宮本さんとメンバーが、薄っぺらいことを歌えない人たちだからだろう。それをわかっているからそう思うのではなく、その誠実さが曲や演奏全体に現れているのだろう。
時間がなくなってしまった。こういうことを、まったく思わなかった人がたくさんいることも承知している。はじめから、この曲のよさを素直に受け入れた人も多いだろう。でも、私はそうではなかったので、こういうことを考えざるをえなかった。